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国によるLPガスの位置付け

LPガスはエネルギー供給の「最後の砦」

震災後のエネルギー政策の方向性を示した新しいエネルギー基本計画が、閣議決定されました。この中では、LPガスを「緊急時にも貢献できる分散型のクリーンなガス体エネルギー」と位置づけ、「災害時にはエネルギー供給の『最後の砦(とりで)』」としています。

「災害時対応型中核充てん所」など供給体制の強靭化を進め、LPG車には運輸部門での燃料多角化の役割も期待されています。

「災害時対応型中核充てん所」

平成24年11月1日より施行された改正石油備蓄法により、昨年は経済産業省主導の“災害時対応型石油ガス中核充てん所整備事業”が実施されました。

  • 被災により電力供給が途絶えたときにも、自社のLPガスを燃料とする自家発電設備があり、充てん業務が継続できること。
  • 被災時においても、自社のLPガスを燃料とするLPガス車を保有し、配送・保安業務等の活動ができること。
  • 被災時において、外部との連絡が可能な緊急用通信設備を保有していること。
災害時対応型中核充てん所

「LPガスの備蓄制度」

現在、法律によって備蓄が義務づけられているエネルギーは、石油とLPガスの二種類だけです(天然ガスには備蓄義務がありません)。 このうち、民間企業が備蓄しているものを「民間備蓄(法定備蓄)」、国家が備蓄しているものを「国家備蓄」と言います。LPガスの場合、輸入量の50日分(約150万トン)が民間備蓄として義務づけられています。これと国家備蓄とを合わせると、全体で約300万トンのLPガスが備蓄されていることになります。
※平成27年3月末現在、一部の国家備蓄基地でガスイン中のため、実質の備蓄量は約245万トンとなっています。

災害時でも機能不全に陥らないシステムを平時から確保

閣議決定されました国土強靱化基本計画の基となる国土強靭化大綱においてLPガスの災害時における有用性が認められました。
避難所等においてLPガスバルクユニットを常時備蓄として設置する」、「国、地方公共団体、業界が一体となった防災協定の締結及び設備導入のための資金計画の策定及び支援方法等に関する全国的な指針の策定を検討する」、「防災拠点、地域への自立分散型エネルギー等の導入を支援する」等が例示されています。

北米シェール随伴の安価なLPガスの輸入などが進んでおり、中東依存度、地政学的リスクが低下しています。
国内においても、最終需要者への供給体制及び民間・国家備蓄制度が整備され、供給の安定性はますます強化されています。
可搬性、貯蔵の容易な、平時の国民生活、産業活動を支えるとともに、緊急時にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源です。

学校施設の避難所としての機能強化、津波対策

文部科学省は、避難所となる学校施設の防災機能の強化や津波対策の検討を行い、報告書をまとめました。この中で、施設の老朽化や耐震対策に加えて、炊き出しなどの熱源としてのLPガスや可搬式の発電機などを確保しておくことが重要としています。

  • 災害対応型LPガスバルク供給システム
    災害対応型LPガスバルク供給システム
  • 低圧LPガス発電機低圧LPガス発電機
  • 炊き出し用LPガス機器
    炊き出し用LPガス機器

人と環境にやさしいLPガス

水害や生態系、人間社会にさまざまな影響を及ぼす地球温暖化。その主たる原因となっているのはCO2の排出量です。

LPガスは、ミドル電源として活用可能であり、緊急時にも貢献できる分散型のクリーンなガス体のエネルギー源である(2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」より)と位置付けられています。)。
また、酸性雨の原因となるSOx(硫黄酸化物)の排出がほとんどないことに加えて、エネルギー効率がきわめて高いことから重大な危機に直面する地球温暖化問題にとって理想的なエネルギーのひとつとなっています。

「クリーンエネルギーとして、優れているところ!」

●燃焼による排ガス中のCO2の量は、石油や石炭に比べてすくない。

温室効果ガス排出原単位[g-C/Mcal](真発熱量ベース)

●LPガスには硫黄分の含有量がほとんどなく、窒素も含まれていない。
●ススや灰分を出さない。
●オゾン層破壊の心配がない。
●特定フロンガスの代替の噴霧燃料としてヘアスプレーや殺虫剤など、手軽で便利なエネルギーとして使われています。
●環境によいことと併せて、都市ガスに比べカロリーが高い高品質なエネルギーです。

LPガスとは?

LPガス(LPG)とは、Liquefied(液化)Petroleum(石油)Gas(ガス)の頭文字をとった液化石油ガスの略称で、プロパン(C3H8)とブタン(C4H10)を主成分とする炭素と水素の化合物です。

LPガスは常温常圧下では気体ですが、冷却または加圧し簡単に液体になります。

液体になる温度は常圧下ではプロパンで-42℃、ブタンで-0.5℃です。一方、メタン(CH4)を主成分とする天然ガスを液化したものをLNG(Liquefied Natural Gas)といいますが、天然ガスは-162℃に冷却しないと液化しません。

LPガスの主な特長

LPガスには、主に4つの特長があります。

環境にやさしいクリーンエネルギーである

LPガスは化石エネルギー(石油・石炭・天然ガス・LPガス)の中でも天然ガスとともに二酸化炭素の排出量が少ないエネルギーです。また、環境に悪影響を与える硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、浮遊性粒子状物質(SPM)をほとんど発生しません。

災害対応力に優れている

LPガスは1戸ごと個別に供給する「分散型エネルギー」です。災害により供給がストップした場合でも、配管など供給設備の点検が短時間で済み、その場で修理することができるため迅速な復旧が可能です。また、LPガスは避難所や仮設住宅へ迅速に設置することができ、被災者の方の生活を支援することができます。

安全・安心なLPガス

これまで、LPガスに関する安全・安心の確保という観点から様々な技術開発が行われきました。多くの安全機器が実用化され、安全・安心の確保に大きく貢献しています。
また、LPガス業界としても様々な保安活動に取り組んでいます。

快適で、省エネルギーなLPガス機器

LPガスの環境性をより活かすため、家庭用・業務用・工業用などの幅広い分野で様々な技術とシステムが開発・導入されてきました。
「Siセンサーコンロ」、「エコジョーズ」、「エネファーム」など、省エネ性の高いLPガス機器があります。

LPガスの性質

1.空気よりも重い

LPガスは空気よりも重く、もれると低いところや物かげにたまる性質があります。もしガスがもれたら、下の方の風通しを良くしてガスを屋外に追い出しましょう。

2.ニオイをつけてある

LPガスそのものは無色無臭ですが、もれたときに分かるようにガス特有のニオイをつけてあります。

3.燃焼には新鮮かつたくさんの空気が必要

LPガスが燃焼するためには新鮮かつたくさんの空気(酸素)が必要です。室内でガスを使用するときは、十分に換気をしてください。